車は要る。でも「一人一台」は要る?|ミニバン1台で年66万円、家計が苦しい理由になっていないか
車が欠かせない地域では、手放すのは現実的ではありません。それでも、ミニバン1台を持つには、車の代金(オプション・諸費用込み)・保険・ガソリン・税金・整備・修理の備えまで入れて1年約66万円かかります。同じ条件で2台なら約131万円。ノア・ヴォクシー・ステップワゴン・セレナのよく選ばれているグレードを平均したモデルケースで計算し、「2台目は本当に要るか」を考える材料をまとめました。
買い物も、病院も、子どもの送り迎えも車。 私たちのように、車が欠かせない地域に住んでいると、ここは変えられない現実です。
それでも、一度だけ考えてみてほしいことがあります。 家の車は、本当に「一人一台」要るでしょうか。
車は、持っているだけでお金がかかる「金食い虫」です。 車が家計を圧迫している家も、あるかもしれません。 まずは、1年にいくらかかっているかを数字で見てみます。
ファミリーカーの定番のミニバンで、1年にいくらかかるかをモデルケースで出してみました。
※価格・料金は、2026年9月27日に各社の公式ページなどで確認したものです。
計算に使った車:ミニバン4車種
安いだけのグレードでは参考にならないので、両側パワースライドドアが付いた、中古車の取引台数が多かったグレードをモデルケースに使います。
| 車種 | グレード | 価格(税込) | 燃費(WLTC) |
|---|---|---|---|
| トヨタ ノア | ハイブリッド S-Z | 4,056,800円 | 23.4km/L |
| トヨタ ヴォクシー | ハイブリッド S-Z | 4,127,200円 | 23.4km/L |
| ホンダ ステップワゴン | e:HEV スパーダ | 3,998,500円 | 19.6km/L |
| 日産 セレナ | 2.0 ハイウェイスターV(ガソリン) | 3,228,500円 | 13.0km/L |
| 4車種の平均 | 3,852,750円 | 19.85km/L |
どれも2WD(FF)です。この4車種を単純に平均した「モデルケース」で計算します。 ※グレードは、中古車の取引台数が多かったもの(2025年1月の集計)を採用しました。新車のグレード別の販売台数は、メーカーが公表していません。
ミニバン1台で、1年約66万円・1か月約5万5千円
地方の家庭を想定して、1年に1万km走る場合で計算します。 買うときにまとめて払うお金や、数年ごとにかかるお金も、1年あたりに換算しています(毎年この金額を現金で払う、という意味ではありません)。
| かかるもの | 1年あたり(換算) | 計算のしかた |
|---|---|---|
| 車の代金 | 325,300円 | 434万2,750円 ÷ 平均の使用年数13.35年(下で説明) |
| ガソリン | 85,592円 | 年1万km ÷ 燃費19.85km/L × 169.9円 |
| 任意保険 | 75,267円 | 普通乗用車の1台あたりの平均 |
| 自動車税 | 36,000円 | 1.5L超〜2.0L以下 |
| 車検の基本料 | 25,000円 | 2年に1回・5万円 |
| タイヤ | 22,500円 | 4本9万円を4年ごと |
| 修理の備え | 20,000円 | 10万円の修理が5年に1回として(下で説明) |
| 重量税 | 16,400円 | 2年分32,800円として仮置き(エコカー減税などで変わる) |
| オイル交換 | 13,000円 | 年2回・6,500円 |
| 洗車 | 12,000円 | 洗車機を月1回・1,000円 |
| バッテリー | 10,000円 | 交換費用を年1万円と仮定 |
| 自賠責保険 | 8,825円 | 24か月17,650円 ÷ 2 |
| 12か月点検 | 7,500円 | 車検のない年に1回1万5千円(車検の年は車検で点検するので、2年に1回) |
| 合計 | 657,384円 | 1か月あたり54,782円 |
今回の条件で、1か月約5万5千円。 いちばん大きいのは「車の代金」で、全体の約半分です。
車の代金は、本体の値段だけではない
| 内訳 | 金額 |
|---|---|
| 車の本体(4車種の平均) | 3,852,750円 |
| コーティング・ナビ・フロアマット | 約400,000円 |
| 買うときの諸費用(登録・車庫証明の手数料、納車費用、リサイクル料金など) | 約90,000円 |
| 合計 | 約4,342,750円 |
コーティング・ナビ・マットは、ディーラーで付けたときの相場の目安です。 ※買うときの重量税と自賠責保険は、毎年の表のほうに入れています。 ※環境性能割(買うときの税金)は、2026年3月31日で廃止されました。
走る距離でガソリン代が変わる
| 1年に走る距離 | ガソリン代 | 1年の合計 |
|---|---|---|
| 6,728km(アンケートの平均) | 57,586円 | 629,377円 |
| 1万km | 85,592円 | 657,384円 |
| 1万3千km | 111,270円 | 683,061円 |
ソニー損保「2025年 全国カーライフ実態調査」の平均は6,728kmです。ただしこれは全国の18〜59歳の車の持ち主へのネット調査なので、毎日車で動く地方の家は、もっと走っていると思います。
計算に使った数字 - 平均の使用年数13.35年:自動車検査登録情報協会(2025年3月末・軽自動車を除く乗用車)。新車として登録されてから廃車になるまでの平均で、1人が乗り続ける年数そのものではありません。ここでは「次の車に替えるまでの年数」の目安として使っています - ガソリン169.9円:資源エネルギー庁の全国平均(2026年9月14日) - 自賠責保険は2026年9月時点の料金です。11月からは2年で18,560円に上がります - 任意保険75,267円:損害保険料率算出機構「自動車保険の概況」の普通乗用車の平均 - 整備・バッテリー・洗車は、ディーラーやカー用品店の相場の目安です。お店や車で大きく変わります - 駐車場は、家に停められる前提で0円にしています
表に出てこない「いつか来る出費」
保証が切れたあとの修理 修理代は、車によって全然ちがいます。ただ、大きな修理がいつ来るかは分かりません。
我が家は、保証が切れたあとにエアコンが壊れて、10万円かかりました。 友人は、保証が切れるギリギリでトランスミッションが壊れました。保証が切れていたら100万円かかるところでした。
上の表の「修理の備え 年2万円」は、我が家の10万円を5年に1回として置いた数字です。運が悪ければ、これでは足りません。
次の車のお金 表の「車の代金 年32万5,300円」は、車の値段を平均の使用年数で割って、1年あたりに直した目安です。実際にいつ買い替えるかは、車の状態や家計によって変わります。 それでも、次の車のお金は、今の車に乗っている間に少しずつ用意しておく必要があります。ここが貯まっていないまま乗り換えると、またローンに頼ることになりやすくなります(下取りに出せるなら、その分は少なくて済みます)。
家に何台ありますか
1世帯あたりの自家用乗用車の台数(2025年3月末)です。
| 地域 | 1世帯あたり |
|---|---|
| 全国平均 | 1.009台 |
| 1位 福井県 | 1.670台 |
| 2位 山形県 | 1.617台 |
| 3位 富山県 | 1.616台 |
| 兵庫県 | 0.880台 |
| 東京都 | 0.405台 |
出典:自動車検査登録情報協会「自家用乗用車の世帯当たり普及台数」
車の保有台数が多い県では、1世帯あたり平均1.6台以上あります。 今回のミニバンと同じ条件の車が2台なら、年約131万円。2台目が軽なら別の計算になりますが、それでも年に数十万円はかかります(軽も今は、仕様によっては300万円を超えます。下で説明します)。
家計が苦しいと感じているなら、車に1年いくら払っているかを、一度数えてみる価値はあると思います。
2台目の代わり、検討しましたか
都会なら「カーシェアを使えばいい」で終わります。 でも都市部に比べると、地方はカーシェアのステーションが少ない地域が多いです。カーシェア・マップが主な事業者のステーション数を集計した結果では、約67%が東京・大阪・神奈川・埼玉・千葉の5都府県に集まっています(2025年10月末)。
では、地方で2台目の代わりになるものは何があるか。並べてみました。
| 代わりになるもの | 目安 | 向いている用事 |
|---|---|---|
| 路線バス・コミュニティバス | 市町のコミュニティバスは1回100円のところも | 通学・通院・駅まで |
| デマンド交通(予約して乗る乗合タクシー) | 自治体によっては1回数百円程度。運行日・時間は地域による | 通院・買い物 |
| タクシー | 例:初乗り1.2kmまで700円(兵庫県の一部の地域) | 雨の日・急ぎ |
| 自治体のタクシー助成 | 自治体によって、対象者や条件を限って、タクシー券などを出している | 通院 |
| 電動アシスト自転車 | 本体13万〜16万円くらい(大手メーカー) | 片道数kmの通勤・通学・買い物 |
| 家族の送迎の組み合わせ | 追加の交通費はかからない(送る側の時間とガソリン代はかかる) | 通勤・部活 |
| ネットスーパー・移動販売 | 配送料がかかることも | 重い買い物 |
どれも、車ほど便利ではありません。 でも、2台目が今回のミニバンと同じ条件なら1か月約5万5千円。これがあれば、
- タクシーで片道3kmの往復なら、運賃だけで月に約18往復分(兵庫県の一部の地域の運賃で、片道 約1,500円=初乗り700円+距離の加算800円。時間の加算・迎車料金・深夜割増は入れていない単純計算です)
- 電動アシスト自転車なら、3か月分で1台買えます
「2台目が本当に要るのは、週に何回か」を数えてみると、答えが変わるかもしれません。
軽にすれば安くなる?
「じゃあ2台目は軽で」と考えるかもしれません。 でも今は、軽の上のグレードは、本体だけで200万円を超えます。
| 軽自動車の上位グレードの例(2WD) | 価格(税込) |
|---|---|
| ホンダ N-BOX カスタム ターボ | 2,436,500円 |
| スズキ スペーシア カスタム ハイブリッドXSターボ | 2,073,500円 |
| ダイハツ タント カスタム RS | 2,024,000円 |
たとえばN-BOX カスタム ターボに、純正ナビ(約23万5千円)・コーティング(約4万円)・フロアマット(約2万5千円)と諸費用(約10万円)を足すと、約284万円。 4WDにしたり、ほかのオプションを足したりすれば、軽でも300万円を超えます。 上のグレードやオプションまで選ぶと、「軽なら安い」とは限りません。
車を小さくしたら、実際いくら変わるのか。これは次の記事で計算します。
「うちは一人一台要る?」チェック
- □ 2台目に乗るのは、週に何日?
- □ その用事は、バス・自転車・送迎・宅配でまかなえない?
- □ 2台目の1年分(今回のミニバンと同じ条件なら約66万円)を、ほかに回したら何ができる?
- □ 次の車のためのお金、今から貯められている?
- □ 保証が切れたあとの修理代、急に10万円出せる?
一つでも気になる項目があれば、2台目の使い方や費用を、家族で一度見直してみる価値はあると思います。
まとめ
- 車が欠かせない家庭では、手放すのは現実的ではない
- でも、ミニバン1台で1年約66万円・1か月約5万5千円(オプション・諸費用込み・年1万km・駐車場なし)
- 表に出ない修理代(我が家はエアコン10万円)と、次の車のお金もある
- 車が多い県では1世帯あたり平均1.6台以上。今回と同じ条件のミニバン2台なら、年約131万円
- 2台目の代わりに、バス・デマンド交通・タクシー・電動アシスト自転車・送迎を組み合わせられないか、一度数えてみる
※価格・料金は2026年9月27日に確認したものです。自賠責保険料は2026年11月から値上げの予定です。地域や時期で変わるので、公式ページで確認してください。